媒体社 デジタル収益、GoogleとFacebookの割合は5%未満 – DIGIDAY[日本版]



GoogleとFacebookは、広告の面では最大のテック企業であり、パブリッシャーにとっては最大のトラフィックソースだが、パブリッシャーの業界団体デジタル・コンテンツ・ネクスト(Digital Content Next:以下、DCN)の最新レポートによると、パブリッシャーのデジタル収益に占める割合はまだ5%未満にとどまる。

2月8日に発表された「配信コンテンツ収益ベンチマークレポート(Distributed Content Revenue Benchmark Report)」によると、Facebookのインスタント記事やGoogleのAMP、インスタグラムといったソースで、分散型コンテンツからパブリッシャーが上げる収益だけを見ると、GoogleとFacebookは約30%を占めている。

パブリッシャーが、コンテンツ配信で多くを依存しているプラットフォームから、どの程度の収益を得ているのかについては、業界のデータがあまりないので、このレポートは注目に値する。世界新聞・ニュース発行者協会(WAN-IFRA)の会員による昨年の調査でも同様に、デジタル収益に占めるFacebookの割合は平均7%だった。

2社にとっては「はした金」

DCNがこのレポートを作成するのは今年で2年目。重要なのは、サードパーティのプラットフォームからパブリッシャーが得ている収益が、1年経ってもほとんど変わっていないことだ。プラットフォーム、特にGoogleとFacebookは、パブリッシャーがコンテンツのマネタイズを向上させる手助けするそぶりを見せてきたにもかかわらず、デジタル広告支出への支配を強めてきた。

パブリッシャーは2017年上半期に、サードパーティのプラットフォームから、デジタル収益全体の16%にあたる1000万ドル(約10億円)を得た。サードパーティでの収益が14%だった2016年上半期と比べて、この数字は横ばいに近い。2017年に米国だけで計520億ドル(約5.5兆円)以上のデジタル広告収益を上げたGoogleとFacebookにとっては、はした金だ。

「最大の驚きは、ほとんど変化がなかったことだ。ニュースやエンタテインメント分野でトップクラスでも、依然として、あるべき形でサポートされていない状況ということだ」と、DCNのCEOであるジェイソン・キント氏は語る。

動画は金が動くものの

レポートは、ニューヨーク・タイムズ(New York Times:NYT)やESPN、PBSなど、デジタルコンテンツパブリッシャー75社を代表するDCNの会員20社が報告した数字に基づいている(以前のレポートの比較対照グループと同じなのは20社のうち約3分の2なので、比較は完全ではない)。

レポートは、動画収益が引き続き、パブリッシャーのマネタイゼーションの原動力であることも示している。サードパーティの収益全体の約85%を動画が占めている。動画を中心に事業を組織してきたパブリッシャーからすれば、正当性が証明されたように思えるかもしれないが、現実には、動画収入のほとんどは、既定の動画制作企業に流れた。TVおよびケーブル会社は、サードパーティのプラットフォームのマネタイゼーションと、YouTubeなど、OTTおよびシンジケーションパートナーを通じた成長に関して、不釣り合いなくらい大きな分け前にあずかっている。ロク(Roku)やAmazonのようなOTTソースは、分散型コンテンツによる収益の半分以上を占めている(下のグラフを参照)。また、動画は、テキストコンテンツよりも制作費が高く付くため、分散型動画による収益は大したものではない。

total-rev-by-platform

YouTube以外のソーシャルプラットフォームは、注目されていても、収益に占めた割合は比較的小さい。Facebook、Twitter、Snapchat、インスタグラムは、パブリッシャーの分散型コンテンツ収益計1000万ドルのうち250万ドル(約2.7億円)を占めるにとどまっている。Facebookは、ソーシャルメディア収益の半分超を占め(下のグラフを参照)、2016年下半期から2017年上半期にこの割合が微増している。Twitter、Snapchat、インスタグラムが占める割合はそれぞれわずかで、それらのプラットフォームは規模変更が難しく、コンテンツ制作が労働集約型になりうる事実を反映している。Snapchatはクローズドプラットフォームで、パブリッシャーがパブリッシングセクション「ディスカバー(Discover)」に参加するには選ばれる必要がある。

social-media-rev-by-platform

「棚ぼた」だった収益

DCNのレポートは、大手プラットフォームでのマネタイゼーションに対してパブリッシャーの不満が高まっているタイミングで発表された。こうした不満は、一部で配信するコンテンツ量の削減や、見返りの利益が少なすぎたり不明だったりするプラットフォーム向けコンテンツの制作に充てるリソースの見直しにつながってきた。フィード内に表示するニュースを減らすと1月に発表したFacebookについて、パブリッシャーは新たな懸念にも直面している。

収益の半分以上を占めるトラフィックの削減は、より大きな影響をパブリッシャーに与えるだろうし、パブリッシャーの大半は、いずれにしても分散型コンテンツの収益ではやっていけないと、スパンフェラーメディア(Spanfeller Media)の創業者で、現在はコンサルタントのジム・スパンフェラー氏はいう。

「こうした収益は想定外のもので、棚ぼただった。Facebookからのトラフィックは大幅に減少するだろう。それがおそらくもっとも重要なことだ。Facebookからのトラフィックが40%を占め、それが半分に減ったら、ビジネスは崩壊する。第2の問題は、パブリッシャーがFacebookで比較的低料金でネイティブコンテンツのリーチを稼いでいたことだ。その費用が増えれば、明らかに大問題だ」とスパンフェラー氏は指摘する。

ふたつの大きなギャップ

パブリッシャーにとって大きな問題は、プラットフォームに対して1社では打てる手だてがほとんどなく、プラットフォームに掲載されることで、まだ多くのオーディエンスに見てもらえるので、手を引くのが非現実的なことだ。

「収益のごく一部しか得ていなければ、高く評価されたプラットフォームをあきらめる価値があると、多くの者はいうかもしれない。だが、ユーザーは、ニュースや情報を求めてますますFacebookを利用するだろう。プラットフォームで利害と価値を一致させなくてはならない。そこにふたつの大きなギャップがある。ユーザーがアクセスするプラットフォームで、コンテンツが適切な評価を受けているかどうかというギャップと、ユーザーがアクセスするプラットフォームを信頼しているかどうかというギャップだ」と、キント氏は語った。

Lucia Moses(原文 / 訳:ガリレオ)



Related Post