国内ガソリンシェア50%超、新生JXTGの中期計画が大甘すぎる



7月から「仕切価格」(元売りからガソリンスタンドへの製品卸売価格)の決定方法が変更になるが、内容は旧JX流そのもの Photo by Yasuo Katatae

 経営統合にこぎ着けただけで、満足しているということなのだろうか。

 石油元売り業界首位だった旧JXホールディングスと、同3位だった旧東燃ゼネラル石油が経営統合して、国内ガソリン販売シェア50%超を握る巨大石油元売り企業として4月に誕生したJXTGホールディングス。同社は誕生後1カ月を経て中期経営計画を発表したが、その中身は身を切る改革がほとんど明記されていない、大甘なものだったのだ。

 最も手ぬるいのは、組織をスリム化する視点だ。製油所や製造所の統廃合については、立地する自治体との調整などで時間がかかるのが普通で、「今年度から具体的に計画し、遅くとも2019年度までに着手」(杉森務・JXTGエネルギー社長)という予定は妥当な線だろう。問題はそれ以外のスリム化のための施策だ。

 現在のJXTGの組織は、旧JXと旧東燃の組織が単純に合体している状態。両社の事業が重なる国内石油製品販売事業は、製造や供給、販売、管理部門など多くが重なる。加えて、旧JXには必要性が疑われるような機能会社が多い。これらを精査すれば、当然、余剰人員が出てくるはずで、統合前から一部の幹部は「早期退職制度の実施は避けられない」と、課題の一つとして認識していた。

 会見の席上、内田幸雄・JXTGホールディングス社長は「計画の中で組織の重複する部分の削減はある程度、織り込んでいる。早期退職制度については現時点で決まったことはない」と説明した。

 だが、国内石油製品需要は、自動車の燃費向上や人口減で年率1.6%の縮小が予想されており、市場環境は年々厳しくなることが確実だ。組織のスリム化は焦眉の急で、両社の内実に詳しい関係者は「今リストラしないで、いつするんだ」と首をかしげている。

業績目標は「できて当然」

 他にも詰めの甘さは散見される。その一つがガソリンスタンドでの石油製品の販売政策だ。

 現在は旧JXと旧東燃の販売政策の二つが併存しているが、これを7月から新たな販売制度に一本化する。しかし、その中身は単に旧JXの政策に寄せたもの。資源エネルギー庁石油精製・流通研究会で指摘された、旧JXの販売現場で横行する「事後調整」と呼ばれる不透明な取引への対策が講じられた痕跡は見当たらない。

 中計内で数少ない目標値として「19年度に営業利益(在庫影響除き)5000億円」を掲げたが、これも「できて当然」(石油業界担当アナリスト)だという。国内ガソリン販売シェアが50%超であることに加えて、業界再編によって石油製品の需給が引き締まって、近年の安売り合戦が収まる可能性が高いからだ。

 中計の位置付けである「抜本的な変革」の文字が、むなしく躍っている。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 片田江康男)

※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら



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