QRコード電子決済利用者を増やすアリババ



 中国のQRコードによる電子決済が普及してきていることは、最近頻繁に報じられるようになったので知っている読者も多いだろう。阿里巴巴(アリババ)系のアントフィナンシャルの「支付宝(アリペイ)」と、騰訊(テンセント)のメッセンジャー「微信(ウィーチャット)」の支払機能「微信支付(WeChatPay)」が2大サービス(陰に隠れているがテンセントの「QQ銭包」というのもある)だ。

 利用者同士でリモートでお金を送ったり、利用者の一方が表示したQRコードをもう一方の利用者が読み込んでお金を送ったりすることができる。街中にはQRコードが張られ、それをスマホでかざして利用する消費者を、当たり前のように見る。


 一見して、これだけ見るだけでも中国の電子決済の発展に驚かされる。それが普及した背景には、便利さや世の流れ・流行とは別に、消費者としても店側としてもいいことがあるという要素がある。アリペイの実店舗でのポータルとなるべく、縁の下の力持ちが「口碑(koubei)」というサービスだ。

 アリババとアントフィナンシャルが、O2O(Online to Offline)でのポータルを目指し、2015年6月に60億元(約960億円)を出資して立ち上げた。当初はケンタッキーフライドチキンやピザハットと提携したが、既にO2O領域で多くの利用者を抱える「美団」や「大衆点評」といったサービスの牙城を崩すことはできず、それほど話題にはならなかった。

 その口碑が4月12日、新たな戦略を発表した。販売店に向けて、アリペイをベースとした店舗のクラウド型POSサービスを提供したのである。この販売店向けの新サービスに登録すると、アリペイを利用した消費者のデータ分析が可能となる。個人データから趣味趣向を分析し、各人に合わせたメニューの並べ替えやキャンペーン情報の提供をする。

 また口碑が発行した店舗専用QRコードを用いて、来店した客がそのQRコードをスキャンしたときに、客に対しキャンペーン情報や利用予約やメニュー注文などのお得な情報を支付宝アプリ上に提供することができる。利用者は既存のアリペイアプリを利用するので、新たにアプリをインストールする必要はない。

 支付宝アプリ上で、ユーザーが最も近い店舗について、アリペイ上でキャンペーン情報を表示させることもできる。店舗側の口碑の利用開始の手続きは簡単ではあるが、利用の条件としてアリババらが手掛ける信用スコア「芝麻開門」で550点以上という、これまでのネット利用において、そこそこの素行の良さが求められる。

 福建省の省都である福州市のスーパーでは、リニューアルした口碑を導入し、スキャンすると飲料や衛生用品やお菓子など複数商品が安くなるキャンペーンが表示されるQRコードを店舗に展示したところ、売上が1週間で大幅に増加した。

 同様に中国全土でスーパーやコンビニが口碑を導入し、リピーター獲得のためのQRコードを店内で展示している。口碑が発表した「コード戦略」では、口碑によるQRコードを300万店舗に展開する目標と立てている。

 中国で普及しつつあるQRコードによる電子決済を「ただ払うだけのもの」ととらえるのは誤解なのだ。



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