IoT対応の”しゃべる自販機”、実証実験を開始- NICT – マイナビニュース



情報通信研究機構(NICT) ソーシャルイノベーション推進研究室は、アサヒ飲料と共同で、見守り、交通安全、観光などのリアルタイムな地域情報をマルチホップ中継しながら発信もできる、IoT対応「見守り自販機」の実証実験を、墨田区を中心としたエリアで6月より順次実施することを発表した。

ビーコン通信型地域IoT無線サービスプラットフォームを使ったサービスイメージ(出所:NICTニュースリリース)

NICTでは、公共性の高い社会課題の解決手段として、無線を使ったIoTサービスの創出と普及を目的に実証的研究開発を推進している。IoT向けの無線方式としてはWi-FiやBLEが広く普及しているが、Wi-Fiは100メートル程度、BLEは10メートル程度と電波の到達性能が期待できないうえ、比較的波長の短い電波を使うために見えない場所への電波の回り込み特性についても期待できなかったという。

また、NICTは、自らが研究開発と国際標準化等までを主導した、数百メートル程度の長距離通信が期待できる「Wi-SUN」(920MHz帯を使う無線通信規格のひとつ)を推進してきたが、実際にIoT無線サービスを迅速に地域に普及させるためには、密な配置が必要とされる無線拠点の場所確保と構築に要する時間やコスト増加が課題となっていた。

そこでNICTは、Wi-SUN、Wi-Fi、BLEを融合活用するビーコン通信型地域IoT無線サービスプラットフォームを2016年度に開発し、今回、アサヒ飲料の協力を得ることで、「見守り」「交通安全」「観光」などのリアルタイムな地域情報を、自動販売機が拠点となって中継しながら”つぶやく”(報知する)、IoT対応自動販売機を実現し、地域IoT無線ネットワークの構築とフィールド実証実験が可能になったという。

Wi-SUN/Wi-Fi/BLE融合IoT無線ルータを搭載した飲料自動販売機(メッシュネットワーク対応)(出所:NICTニュースリリース)

基礎実証実験では、IEEE802.15.10を用いたWi-SUNによる無線メッシュネットワークを、IoT対応自動販売機に設置予定のIoT無線ルータ99台を使って屋内環境に構築し、1台のIoT無線ルータが受信したセンサー情報が他の98台のIoT無線ルータ全てに転送される動作を確認したということだ。

この結果を踏まえ、墨田区を中心としたエリアにおいて6月から順次、「飲料自動販売機及び飲料補充車両・タクシーにIoT無線ルータを設置し、地域に構成可能なIoT無線サービスエリアを検証」、「構成するIoT無線サービスエリアで、業務をし”ながら見守り”や”子供飛び出し(交通安全)”に関わる注意喚起サービス、タクシー事業者のための乗客発見支援サービス等の実用性を検証」といったフィールド実証実験を行う予定とのことだ。

Wi-SUNビーコン発信機設置自動販売機(左)、Wi-SUNルータ搭載飲料補充車両(中)、スマートフォン型Wi-SUNルータ搭載タクシー(右)(出所:NICTニュースリリース)

NICTはこの実証実験に関して、街に遍在する自動販売機を利用することで、無線拠点の密な展開に必要な時間やコストの問題が解決され、地域コミュニティにとって低コストで有益な、リアルタイムでの情報共有を可能とする地域インフラになると期待されるとしている。加えて、2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックに向けて多くの外国人観光客を迎えるにあたり、IoT対応自動販売機が設置された店舗やそのエリアに固有のリアルタイム観光情報を配信する、新たなIoT無線サービスの創出も期待できると説明している。

なお、5月24日~26日に東京ビッグサイトで開催される「ワイヤレス・テクノロジー・パーク2017」において、同プラットフォームを用いるデモンストレーション展示を実施する予定となっている。



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