へその緒のタンパク質が老化マウスの脳を若返らせると判明



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マウスの実験で、人間の臍帯血に含まれるタンパク質が、高齢マウスの認知能力を高めるとわかった。ただし、若い血液が高齢化をどう元に戻すのか、詳細はまだわからない。

ヒトの新生児の臍帯血に高い濃度で含まれるタンパク質が、老齢マウスの認知能力を改善するとわかった。老化に逆らう治療法を開発する上で、若年層の血液に何らかの秘密があることを示す、新たな根拠だ。ただし、アンチエイジング療法として確立するには、この現象のメカニズムを正しく理解してからの話だ。

ネイチャー誌で発表された新研究は、ヒトの血液を輸血しても拒絶反応を起こさないよう免疫系を操作した老齢マウスに、ヒト新生児の臍帯血から採取した血漿を定期的に注射したところ、認知機能が改善したことを示す。同じ効果は、ヒトの若者からとった血液を老齢マウスに注射した時にも確認されたふぁ、その効果は臍帯血の血漿ほど顕著ではなかった。ただし同様の輸血を受けた若齢マウスに効果はなかった。

スタンフォード大学の研究チームは、タンパク質の「TIMP2」(若者や老人の血液よりも、臍帯血に多くある)が、輸血後に老齢マウスの脳内にあることを確認した。何度も繰り返された実験で、TIMP2を除去した臍帯血では同様の抗老化作用がないこと、逆にTIMP2を単独で注入すると、認知機能が改善するとわかった。実験結果から、タンパク質「TIMP2」が認知機能年齢を元に戻す上で、何らかの役割を担っているとわかる。ただし、具体的にどう作用しているかは不明なままだ。

今回の発見はアンチエイジング効果の唯一の例ではない。別の研究者は、タンパク質「成長差別化因子11(GDF11)」が、筋肉や脳の老化を元に戻せると示した(ただし、効果には異論もある)。また3月には、別の研究で、今回とは別のタンパク質「オステオポンチン」が、老化した血液細胞を若返らせる作用を持つようだとわかった。こうした研究から、若い血液中には、年老いた生き物の健康によい効果のあるいくつかの因子の組み合わせがあるとわかる。ただし、その種の因子が一体いくつあるのか、どのような組み合わせがもっとも理想的な効果を生むのか、あるいは、脳や体で実際にどう作用するのか、具体的な詳細は不明のままだ。

なおサイエンス誌の記事によれば、スタンフォード大学はすかさずTIMP2を抗老化目的で応用する特許を取得しており、アルカヘスト(本社カリフォルニア州)が、特許に基づいて製品を開発しようと計画中だ。血液を元にした若返り薬の商業化は、アルカへスト以外も計画中だ。もし今8000ドル出せる余裕があるなら、スタートアップ企業のアンブロシアは静脈に若い血液を2リットル注入してくれる。だが、少なくとも今のところ、こうした処置はどれも、どんな効果があるのか具体的にはわからない。

(関連記事:Nature, Science, “若返りのたんぱく質をついに発見か?,” “若い血液に若返り効果? 料金は1回8000ドル”)

転載元(MIT Technology Review)の記事へ

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