旭化成で役員ら85人大異動、社長ワントップ体制鮮明に



今回の人事で「中2階のポジション」(旭化成関係者)はなくなり、小堀秀毅社長以外で特定の事業領域を担当する代表取締役はいなくなった Photo by Mieko Arai

 総合化学大手の旭化成で、小堀秀毅社長のワントップ体制がより鮮明になっている。

 2016年度は旭化成にとって、まさに変革の一年だった。グループの総合力を生かすため、素材領域に属す子会社群を持ち株会社に吸収合併。15年に子会社で発覚した杭工事施工データ改ざん問題に区切りをつけるべく、小堀氏を社長とする新経営体制に移行した他、25年度に売上高3兆円、営業利益2800億円に飛躍するための基盤固めを目指す新中期経営計画をスタートさせた。

 組織の在り方から経営陣まで、軒並み変わったことになる。

 社内は変化にようやく慣れてきたところだったはず。だが、小堀氏は平穏な日々に甘んじる気はなかったようだ。4月、変革2年目にして役員ら85人の異動と担当業務の変更を決行したのだ。

集団経営は一瞬だった

 経営のトップ層も例外ではなかった。そもそも旭化成は14~15年度、浅野敏雄社長(当時)以下、小堀氏を含む同年代4人の代表取締役に担当する事業領域を割り振り、会社全体を運営するという集団経営体制を敷いていた。

 杭問題を機にそのうち2人が退任。集団経営の色が薄れていたのだが、今回、同社において最大規模の素材領域を担当していた小林友二氏がさらに退いた。代わりに代取に就いたのは、事業領域ではなく研究・開発を全社的に取り仕切る技術畑の中尾正文氏である。

「全社のガバナンスは小堀さんが一人で見るってことだろう。かつて目指した集団経営体制は、社内外に理解されにくかった。やっぱり日本企業はヒエラルキーの中でしか成り立たない」。旭化成関係者はこう分析する。

 小堀氏がガバナンスを行うに当たり、右腕になると目されるのが坂本修一取締役だ。旭化成の出世コースで、小堀氏も踏んだ経営戦略室長(現経営企画部長)を経験。現在は経営企画などを担当する。

 坂本氏は、エレクトロニクス畑出身の小堀氏とは異なり、化学畑の出身。性格も「馬車馬のように働く豪腕な人で、調整型の小堀さんとの相性はピッタリ」といった声も聞こえてくる。

 中尾氏を代取に据えたことにも意味がある。

 同社は03年に分社化し、持ち株会社制に移行した。それで各事業会社の自主自立が促され、収益力アップに成功したとの自負はある。ただ一方で、研究・開発を短期的に行う各事業会社の部隊と長期的に行う持ち株会社の部隊の連携がうまく取り切れないなど、新事業の創出力に欠ける部分があったのも事実だ。「分社化した後の停滞感はあった」と中尾氏も正直に心情を吐露する。

 大型買収を行ってきた旭化成だが、代表権を持った中尾氏の下、技術面でもグループ間の連携をさらに深め、自社開発品での成長加速も目指す。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 新井美江子)

※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら



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