IoTは何からできているのか? 図解でわかる入門書 【ブックレビュー】『絵で見てわかる IoT/センサの仕組みと活用』(翔泳社) – JBpress





IoTという言葉が市民権を得つつある今、その本質がわかりにくくなってきていると感じる方もいるのではないでしょうか。今一度、IoTという言葉を考えてみると、Internet of Things=モノのインターネットということで、モノとモノが繋がることによって新しい価値を生み出すことを表しています。


従来のモノ、例えばパソコンやスマートフォンでもインターネットに繋がりますが、それらとIoT製品が異なるのは、モノ同士が通信し合うかどうか、ということ。それぞれのモノは目新しくなくても、通信し合うことで新しい体験や利便性を生み出してくれるわけです。


こうした本質を理解するには、各技術要素の基礎知識が欠かせません。しかし、IoT領域における個別の技術要素はハードウェアやネットワーク通信、ソフトウェアなど多岐にわたり、かつ専門的なので用語解説だけではイメージするのが難しいと感じる場合もあるでしょう。


本書は、そうした多岐にわたる技術要素について図解を多用しながら、基礎から解説してくれます。聞いたことがない専門用語でも図解で見れば、イメージもつかみやすいというもの。


IoT製品の仕組みを理解するために欠かせない、ハードウェアとソフトウェア、センサやデータ分析のことがひと通り学べ、基礎知識を付けられる一冊です。


どのようなことが書かれているのか、その一部についてご紹介したいと思います。


IoTの主役となるデバイス


本書では、これからIoTに関わるにあたって最低限必要な知識や動向がイラスト付きで解説されています。


IoT市場を構成する領域の説明から始まり、技術動向から技術の概要へと進んできます。


技術の概要では、まずIoTにおいて重要な役割を担う「デバイス」について説明されています。本書によれば、デバイスとはセンサが組み込まれ、ネットワークに接続された「モノ」のことだといいます。スマートフォンはもちろん、条件を満たすならば傘や時計、電球などの日常生活に存在する「モノ」もデバイスとなると説明されています。


そのデバイスが持つ役割は、周囲の環境情報を収集する「センシング」、ネットワーク側からデバイスに指示を送る「フィードバック」の2つ。この2つの役割をうまく連携させることで、IoT製品のユーザー体験が実現されるというわけです。


特にセンシングを行う「センサ」という部品は重要で、センサがセンシングした情報を元に、システムはデバイスにフィードバックを行います。



センサが組み込まれネットワークに繋がったものが「デバイス」(9ページ・図1.6より)



製品化実現の為のアーキテクチャ、センサについて


本書の著者はNTTデータ社において、IoTやロボティクスの研究開発に従事するエンジニアたち。その経験を背景に、概念だけではなく実際のデバイス/サービス開発を意識した内容となっています。


第2章からは、より具体意的な話題が続きます。IoTサービスを構成する要素は、「デバイス」「ゲートウェイ」「サーバ」の3つに分けられるといいます。このうちサーバは、IoTサービスを提供する役割を担い、ゲートウェイはサーバとデバイスをつなぐ役割を担うものです。


IoTでは、デバイスから取得したデータを収集しサービス側で処理をして機能を提供するので、デバイスだけではIoTたり得ません。しかし、ゲートウェイとサーバのやり取りや仕組みは目に見えないので理解しにくいのが入門者には辛いところ。そこを本書では図解で見せてくれるので、知識がなくても理解しやすく助かります。


第3章はデバイスにフォーカスし、構成要素について説明が続いていきます。IoTデバイスは「入力デバイス」「マイコンボード」「出力デバイス」から構成され、入力デバイスにはセンサやカメラなど、出力デバイスにはディスプレイやスピーカーなどがあるとされています。



IoTデバイスは入力デバイス、マイコンボード、出力デバイスから構成される(66ページ・図3.3より)



特にデバイスに使われるセンサは、温度/湿度、光、加速度、距離など様々なセンサがあります。これらを活用することで、まさに我々人間が普段見たり感じたりしている五感に近い情報を取得できるのです。


IoTデバイスでは目的に応じてこのセンサが使い分けられます。デバイスのサイズや用途、場所によって適切なセンサが変わってくるためです。その使い分けを適切に行うには、それぞれのセンサの特徴や特性を知っておかねばなりません。


本書では各センサについて、どういう特徴・特性を持っているのか、詳しく説明されています。


そしてデバイス開発において非常に重要となるのがマイコンボードの選定であるとしており、開発環境や作りたいもの、経験等に応じて“適切”なマイコンボードが異なってくるとのこと。本書では具体的な選定基準が示され、いくつかの代表的な機種についても解説されています。


他に、ネットワークやデータベース、データ分析についてもそれぞれ紙面が割かれ、一通りの流れを把握できるようになっています。


より実践的な開発を進めるために


IoTデバイスを開発していく際によく行われる「ハードウェアプロトタイピング」についても解説されています。これは、机上の検討だけではなく、実際に動作するプロトタイプを繰り返し作成し、フィードバックを得ながら進める開発プロセスです。


ハードウェアのノウハウや、技術的にできることを中心に開発してしまうと、「すごい技術を使っている」はずなのに全くニーズが無い、といったことになりかねません。


市場のニーズを踏まえた上で、コスト感やできる、できない、といった事実も考慮して開発を進めなければならない、と述べられています。


小規模のIoTサービスであっても、サーバーアプリケーション、デバイスのハードウェア、組み込みソフト、ゲートウェイ、など多岐に渡ります。すべてを完璧に把握している必要はありませんが、それぞれの領域について理解しておくことで、開発や仕組みのトラブルを未然に防げるとのこと。これは本書のコンセプトとして、貫かれている著者の想いだろうと感じました。


[まとめ]基礎から実践的なことまで網羅した入門に最適な一冊


本書は「IoTとはなにか?」という初歩の初歩から、必要な要素の意味や活用方法までを網羅しています。より便利で面白いIoTデバイス開発のための第一歩としてはもちろん、これから新たに取り組もうとしている他分野エンジニアの方や、営業職の方、あるいは経営者の方などに読んで欲しい一冊です。


※本記事内の画像は翔泳社からの許諾を受けて掲載しております。







今回取り上げた本


『絵で見てわかる IoT/センサの仕組みと活用』

著者:株式会社NTTデータ 河村雅人/大塚紘史/小林佑輔/小山武士/宮崎智也/石黒佑樹/小島康平

出版社:翔泳社

仕様:A5判・2色刷り・320ページ

価格:本体2,680円+税

ISBN:9784798140629
http://www.shoeisha.co.jp/book/detail/9784798140629


【本書の構成】

第1章?IoTの基礎知識

第2章?IoTのアーキテクチャ

第3章?IoTデバイス

第4章?高度なセンシング技術

第5章?IoTサービスのシステム開発

第6章?IoTとデータ分析

第7章?IoTとウェアラブルデバイス

第8章?IoTとロボット

JBPRESS

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