サービスインしたYouTube TVにみる、すべての番組がアプリになる未来 – 朝日新聞



 この問題が長期化することはないとしても、次第に激化している動画の広告配信事業だけではなく、ミレニアル世代(2000年以降に成人、または社会に出た世代)をサブスクリプション型(定期購読型)のサービスにゆるやかに誘導することで収入の多様化をはかっているとみてよいだろう。

 ここに、既存のケーブルテレビ会社との利害の一致があったことが見て取れる。

 YouTube TVで力をいれられているのが、生放送での視聴が大きな意味をもつスポーツ観戦と、エンターテインメントの分野だ。

 これらの配信は、同時視聴者が非常に多いためにケーブルテレビ各社も容易にネット配信などを行うことは困難である一方で、YouTubeにはすでに世界中でコンサートからスポーツイベントまでを実況放送してきたYouTube REDやYouTube Liveの実績がある。

 まだウェブにとりこまれていなかった生視聴の番組をもっているケーブルテレビ各社と、すでにスマートフォンのスクリーンを見つめている若い視聴者を獲得しているYouTubeとのあいだの利害が見事に一致した結果の、今回のリリースといえるのだ。

YouTube TVの日本上陸は?

 日本においても近年、ドワンゴのニコニコ動画やサイバーエージェントのAbemaTVといったサービスがテレビが従来もっていた視聴者層のとりこみに向けて投資と開発を進めている。

 特にサイバーエージェントによればAbemaTVに関してはまだ投資期にあるとして、今季200億円の投資が予定されているなど、国内においてもテレビがスマートフォン上のアプリになる流れは加速している。

 このことは、各社がYouTube TVのそれと似たDVR機能の開発に力を入れていることからもみてとれる。

 ニコニコ生放送にはタイムシフト再生の事後予約機能がすでに提供されており、4月6日にはAbemaTVから見逃し番組をあとから見られる「Abemaビデオ」機能もされた。

 YouTube TVは現在、ケーブルテレビが支配的で同じテレビ番組でも州や地方によって放送局がさまざまに変わるアメリカの事情に特化する形で提供が進められているが、同様のサービスを日本で展開することも十分に有り得る。

 その際に壁となっていたテレビ・ネットの同時配信に関する壁は総務省によって2019年にも解禁される方向で、すでに法改正にむけた動きが進んでいる。

 数年後には、地方局であれ、NHKのような放送局であれ、すべての番組がスマートフォン上の小さな掲載枠に表示され、指先でクラウドに登録できる可能性がそこまできているのだ。

 YouTube TVの今後の展開に注目すれば、そうしたスマートフォンと融合した未来のテレビの姿が見えてくることだろう。

(文・ライター、ブロガー 堀 E. 正岳)

<筆者紹介>

堀 E. 正岳

「人生を変える小さな習慣」をテーマとしたブログ、Lifehacking.jp 管理人として、仕事術、ライフハック、テクノロジー、文具、ソーシャルメディアなどについて執筆中。2011年アルファブロガー・アワード受賞。気候学者。理学博士。



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