三菱東京UFJがクラウドやブロックチェーンを語る



 IBMは3月23日まで米ラスベガスでクラウドのイベント「IBM InterConnect 2017」を開催した。イベントのフォーカスの1つとなったのがブロックチェーンで、IBMは会期中オープンソースの分散レッジャー技術をベースとした「Blockchain as a Service」を発表した。イベントでは同社の顧客である三菱UFJ銀行、カナダロイヤル銀行(RBC:Royal Bank of Canada)の二行がクラウドやブロックチェーンなど、先端の取り組みについて語った。

ブロックチェーンの潜在性に注目する三菱東京UFJ

三菱東京UFJフィナンシャルグループ 執行取締役グループCIO(最高情報責任者)を務める村林聡氏
三菱東京UFJフィナンシャルグループ 執行取締役グループCIO(最高情報責任者)を務める村林聡氏

 個人の預金口座数4000万件、法人50万件――日本のメガバンク最大手の三菱UFJ銀行は、日本で最初にIBMのメインフレームS/360を採用(当時の東海銀行)するなど、IBMにとっては古くからの顧客だ。InterConnectのセッションに登場した三菱東京UFJフィナンシャルグループ 執行取締役グループCIO(最高情報責任者)を務める村林聡氏によると、現在でも中核の勘定系システムはIBMのメインフレームで動いているという。「メインフレームはITオペレーションの安定化と安全性に重要な役割を果たしている」と評価するが、同時にクラウドの取り組みも進めている。

 「クラウドプラットフォームを利用する計画をアグレッシブに進めている」と村林氏。ここではIBMの「Bluemix」クラウドを利用する。安定性を目的とするメインフレームに対し、クラウドでは「新しいサービスをできるだけ早く顧客の手に届けること」とそれぞれの狙いを説明する。

 三菱UFJ銀行はフィンテックの可能性を探るべく、2015年にデジタルイノベーション推進部を立ち上げた。特に注力しているのは、クラウドとAIだ。ブロックチェーンでは2016年秋、IBMとスマートコントラクト(電子契約書)ソリューションの実証実験(PoC)を進めることを発表した。「IBM Cloud」上に構築したオープンソースの分散レッジャー「HyperLedger」ベースのシステムで、ブロックチェーン上に発注などの契約を作成してIBMとやりとりしたり、契約書を保管・管理するなど、契約管理プロセスを自動化する。

 「戦略的イニシアティブの最初のステップ」と村林氏、「社内、社外でオペレーションの時間とコストを削減できる」と狙いを語る。ブロックチェーンではこのほかにも、やはりシンガポールで別のプロジェクトを進めているという。

 「ブロックチェーン技術には大きな潜在性がある。将来、幅広い分野に適応できるだろう」と村林氏は感触を語る。一方で、講演後に日本記者とのやりとりで、全てが公開されるというブロックチェーンの透明性が適していない場面もあるとした。「完全にパブリックなもの、プライベートなものと対象によって使い分けることになるのでは」と述べた。

 三菱東京UFJフィナンシャルグループ 執行取締役グループCIO(最高情報責任者)の村林聡氏。クラウドは、「IT業界におけるシェリングエコノミーのコンセプトを具現化するもの」「将来のバンキングシステムを変える」と位置付けた。



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