システム裁判の教訓、プロマネのあり方を問うたスルガ銀・IBM訴訟(システム裁判回顧録)



 システム裁判として著名なものといえば、スルガ銀行と日本IBMの案件。スルガ銀行は2008年3月5日、システム開発の中止で損害を受けたとして、発注先の日本IBMに約111億円の支払いを求める訴訟を起こした。その後、2015年7月8日に決着。日本IBMに約42億円の賠償を命じた東京高等裁判所の判決が確定した。

 プロジェクトマネジメントのあるべき姿を深く考えさせられる契機ともなったこの一件。最初に詳しく報じたのが、2007年1月8日号の「動かないコンピュータ」。当時のタイトルは「IBM製パッケージを利用した新勘定系の全面刷新を延期」(安藤 正芳=日経コンピュータ)。その内容を全文公開する。


 静岡県の地方銀行であるスルガ銀行は、2008年1月を予定していた新勘定系システムの全面刷新を延期する。国内で稼働実績がなかったパッケージを採用したが、設計・開発作業が難航した。開発を担当する日本IBMと共同で、プロジェクト・チームを再編。要件定義を見直して再度開発を進めている。

 従来のシステムのように、口座単位で預金の残高を管理するのではなく、顧客単位で普通預金や定期預金、投資信託商品など複数の口座の残高を、まとめて管理できる―。

 スルガ銀行が現在全面刷新を進めている勘定系システムの特徴を一言にまとめればこうなる。同行は、資本金300億4300万円、国内に119店舗を構える中規模の地方銀行。預金高は2兆7966億7200万円(2006年3月末)だ。

 06年5月に発表した05年度(06年3月期)の決算短信で同行は、「多様化するお客様のご要望に迅速に対応できるよう、新商品・サービスのスピーディーなご提供の実現に向け、08年1月の稼働を目指して、新経営システムの開発を進める」と記述している。

 スルガの現在の基幹系システムは日本IBMのメインフレームで動作するもの。スルガは、勘定系とCRM(顧客関係管理)をはじめとする情報系システムと統合した形で、新経営システムを完成させる予定だった。

 だが勘定系を含む新経営システムの現実の全面稼働は、08年1月を過ぎることになった。



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